読売展には平城京についの文を書いたわけですが、
6月の初旬に奈良国立博物館で開催された大遣唐使展に
行ってきました。
その時、遣唐使の唯一残っている墓誌銘が展示されていました。
遣唐使に行った岡萬という人の子供か作ったと思われ、その美しい
漢文表現は孝経の影響が窺えるという・・・
その墓誌銘をみて、1300年程前の事が つい100〜200年
程前の事のように身近に感じ、唐詩や法帖でよく触れている唐代
中国がすぐそこにあるかのように錯覚するほど惹きつけられました。
そこで、是非この銘文を読んで、この墓誌銘についての物語を
次の作品にしたいと思いました。
国立博物館の学芸員さんに相談し、許可を得て、資料も教えていただき
銘文の不安なところは千里金蘭大の末次先生に相談して
一月余りかけて原文をつくりました。
少し緑っぽい紙に仕上げようと思っています。
生駒山麓の丘陵地から長方形の銅板が掘り出された。
銘文は我が祖美努岡萬で始まる。揚名顕親からみて子孫が作ったと思わ
れる。遣唐使に任命され、帰国後従五位下を授けられている。
人と為りは小心にして帝に事え、孝を移して忠となすなどの美しい表現
からこの文を作った者達までが中国文化への深い造詣が窺える。
これは日本に残る唯一の遣唐使の墓誌銘である。
美努岡万墓誌によせて